従業員の方が負担する社会保険料(厚生年金・健康保険)は、前月の保険料を給与から控除することができ、退職時においては、前月及びその月の保険料を控除できるとされています。
社会保険料は月単位で発生し、被保険者の資格を取得した日が属する月から退職日の翌日(資格喪失日)が属する月の前月分まで発生します。
退職時に2カ月分の社会保険料が控除され、金額も大きいため驚いて問い合わせをされる退職者の方がいらっしゃいます。給与締日や退職日などが関係してきますので、いくつかの事例をみながらお伝えしたいと思います。
なお、下記事例の社会保険料控除は全て翌月とします。
〈Aさん退職日:3月31日〉
資格喪失日は4月1日になります。
資格喪失日が属する4月の前月である3月分の社会保険料まで発生することになります。
4月10日支払いの最終の給与からは3月分の社会保険料が控除されます。
〈Bさん退職日:3月25日〉
資格喪失日は3月26日になります。
資格喪失日が属する3月の前月である2月分の社会保険料まで発生することになります。
2月分の社会保険料は、すでに3月10日支払いの給与から控除されていますので、4月10日支払いの最終の給与から控除される社会保険料は、ゼロということになります。
〈Cさん退職日:3月20日〉
資格喪失日は3月21日になります。
資格喪失日が属する3月の前月である2月分の社会保険料まで発生することになります。
2月分の社会保険料は、3月25日支払いの給与から控除されることになります。
4月25日に支払われる最終の給与から控除される社会保険料はゼロになります。
〈Dさん退職日:3月31日〉
資格喪失日は4月1日になります。
資格喪失日が属する4月の前月である3月分の社会保険料まで発生することになります。
3月分は4月に控除されることになりますが、4月25日は給与支払がありません。
3月25日が最後の給与支払いとなるので、2月分と3月分の合計2カ月分の社会保険料を控除することになります。
従業員の方の退職が社会保険料の控除月を改めて確認する機会になった、という事業所の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
従業員の方々の信頼を損なわないためにも、社会保険料に限らず、給与から控除する金額は細心の注意が必要になります。