事業主は、外国人の雇入れ時と離職時に在留カードに記載されている事項をハローワークへ届け出る必要があります。
当該外国人が雇用保険の被保険者か否かで届出方法が異なり、被保険者でない外国人については「外国人雇用状況届出書」により届け出ます。
今回は、雇用保険被保険者ではない外国人に関する届出を行うことができる、ハローワークインターネットサービスの「外国人雇用状況届出システム」を利用した届出方法についてお伝えいたします。
【届出の対象となる外国人】
雇入れ時及び離職時のいずれも在留資格が「外交」、「公用」以外の方は届出の対象です。
また、「特別永住者」【※1】は、外国人雇用状況の届出制度の対象外とされており、確認及び届出の必要はありません。
【※1】特別永住者には在留カードは交付されず、「特別永住者証明書」が市区町村の窓口で交付されます。
【雇用保険の被保険者となる場合】
雇入れた外国人が、雇用保険の被保険者要件に合致する場合、「雇用保険被保険者資格取得届」の届出を行います。取得届の17欄から23欄は、労働者が外国人の場合に在留カードの内容を記載することとされており、労働者から在留カードの提示を受けて記載しなければならない箇所です。
雇用保険の被保険者資格取得届を提出することにより、外国人に関する事業主の届出義務は果たしたことになるため、別途「外国人雇用状況届出書」を提出する必要はありません。
【雇用保険の被保険者とならない場合】
雇入れた外国人が、雇用保険の被保険者とならない場合、資格取得届により在留カードの内容をハローワークへ届け出ることはできないため、「外国人雇用状況届出書」により届け出を行うことになります。
書面による提出の他に、ハローワークインターネットサービスの「外国人雇用状況届出システム」を利用して届出を行うことが可能です。
システムの使用を開始する時に、ユーザ登録を行い、IDを取得します。
【事業所が雇用保険適用事業所の場合】
雇用保険の労働者が既におり、雇用保険適用事業所番号が付与されている場合、「雇用保険適用事業所からのユーザID仮登録」のボタンをクリックして登録を行います。
ここで注意しなければならないのが、これまでに一度でも、外国人の在留カードの内容等に関して、書面または電子申請にかかわらず「雇用保険被保険者資格取得届」、「雇用保険被保険者資格取得喪失届」により届出を行っている場合、もしくは書面の「外国人雇用状況届出書」により外国人の届出を行っている場合、「外国人雇用状況届出システム」は使用することができません。
「外国人雇用状況届出システム」の使用を開始するためには「外国人雇用状況届出に係る電子届出切替・変更申請書」をハローワークへ提出する必要があります。
【事業所が雇用保険適用事業所ではない場合】
雇用保険の被保険者がおらず、雇用保険適用事業所番号が付与されていない場合、「雇用保険非適用事業所からのユーザID仮登録」のボタンをクリックして登録を行います。
【記載項目】
「外国人雇用状況届出システム」で雇入れ時の届出において記載が必要な項目は、下記の通りです。
✓氏名(ローマ字)※
✓フリガナ(カタカナ)※
✓在留資格※
✓在留期間(西暦)
✓生年月日(西暦)※
✓性別※
✓国籍・地域(選択式)※
✓出身地域(選択式)※
✓資格外活動の有無
✓在留カード番号※
✓雇入れ日(西暦)※
✓派遣・請負就労区分の該当非該当
✓正社員区分(選択式)※
✓郵便番号及び住所
※記載必須項目
【出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報照会】
外国人労働者から提示された在留カードが失効していないかどうか、下記の出入国在留管理庁のサイトで、在留カード番号、在留カードの有効期間を入力することで確認することができます。
【出入国在留管理庁 在留カード等読取アプリケーション】
さらに、在留カードの偽変造の有無を確認するためのアプリケーションが、出入国管理庁のホームページにおいて提供されています。
提示された在留カードを目視するだけでなく、これらのツールを使用して、慎重に確認を行って下さい。
【雇用保険の被保険者の場合】
離職をする外国人が、雇用保険の被保険者である場合、「雇用保険被保険者資格喪失届」の届出を行います。この喪失届の14欄から19欄は、労働者が外国人の場合に在留カードの内容を記載する箇所ですので、該当箇所を記載することで外国人の離職に関する届出を行ったことになり、「外国人雇用状況届出システム」による届出は不要です。
【雇用保険の被保険者でない場合】
離職する外国人の雇入れ時に「外国人雇用状況届出システム」を使用して登録を行っている場合、「外国人離職情報登録」のボタンをクリックして労働者リストから該当労働者を選択し、「離職」のボタンをクリックすることで届出を行うことができます。
雇入れ時の届出を書面により提出している場合、前出の「外国人雇用状況届出に係る電「届出切替・変更申請書」をハローワークへ提出してからシステムを使用する必要があります。
外国人の雇入れ時と離職時の届出については、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」により事業主に義務付けられている届出です。届出をせず、又は虚偽の届出をした場合は指導、勧告、30万円以下の罰金の対象とされています。
雇用保険の被保険者ではない外国人に関する届出は、意識をしていないと忘れてしまう可能性があると思いますのでご注意下さい。
ご不明点などある場合は、是非ご相談下さい。