このブログを読んで下さっている方の中には、労働基準監督官による事業場の立ち入り調査を急に受けて緊張した、という経験をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
労務管理はきちんとしているつもりで、特に心当たりがないのにそのような調査を受けるのはどきどきするものです。
今回は、どの事業所も受ける可能性がある労働基準監督署による調査(臨検監督)についてお伝えいたします。
労働基準監督署は、厚生労働省の第一線機関で、全国に321署あります。(令和4年時点)
4つの課に分かれており、方面(監督課)が調査(臨検監督)を担当しています。
各課の主な役割は下記の通りです。
【方面(監督課)】
調査(臨検監督)、労働基準法等の関係法令に関する各種届出の受付や相談対応などを行っています。労働基準監督官は、労働基準関係法令に違反している場合、特別司法警察職員として、逮捕、送検を行う権限があります。
【安全衛生課】
機械設備の設置に係る届出の審査、職場の安全や健康確保に関する技術的指導を行っています。
【労災課】
労災について、労災保険給付を行っています。
【業務課】
会計処理などを行っており、通常、事業主や労働者が直接連絡をとることはありません。
労働基準監督署の調査(臨検監督)には以下の3つがあり、調査が行われる事由が異なります。
いずれも通常は事前に連絡がきて、実施日がお知らせされます。
【定期監督】
毎年、計画に基づいて一定数の事業場の調査(臨検監督)が行われており、労働基準監督署が主体的、計画的に対象事業場を選定して行う調査です。
【申告監督】
労働者の申告により行われる調査です。労働者からの未払賃金、過重労働、不当解雇などの相談を受け、相談内容の事実確認のため、対象事業場の調査(臨検監督)が行われます。
【災害時監督】
労働者から労災申請があった時に、原因の調査を行ったり、再発を防止するため等の理由で行われる調査(臨検監督)です。
勤怠管理、労働条件通知書又は労働契約書、賃金台帳、労使協定書、安全衛生管理体制など労務管理に関する書類を提示し、法違反などがある場合は、是正勧告書、改善指導、使用停止命令などが行われます。
【是正勧告書】
法違反がある場合、該当する法律及び条項、違反事項、是正期日が示された是正勧告書が発行されます。
是正期日までに是正報告書を提出する必要があります。
【指導票】
事業所から提供された資料ではっきり法違反とまでは言えないが、改善が必要な項目等については、指導票が交付されます。
指導事項と改善に関する報告の提出期限が示されています。
通常は、是正勧告書や指導票と一緒に是正報告書のフォームも事業所へ送られます。
是正内容と是正の期日などを記載して期日までの提出が必要となります。
違反内容が意図的ではなく悪意がないことが前提ですが、もし期日までに是正が完全に行えなかった場合、期日までに是正に向けて行った内容や、間に合わなかった理由など、隠さずに説明することが重要と思われます。
日々の労務管理を適正に行っていれば、急な調査(臨検調査)があっても心配することはありません。
しかし、正しいと思って行っていた事が実は法律に沿っていない方法であった、意図的ではないが間違った処理を行っていたということは発生し得ることです。
専門家によってダブルチェックを行うことも、うっかりミスを防止するひとつの方法です。
社会保険労務士としてご依頼があれば顧問先様の調査(臨検)の立ち合いを行っております。
ご相談事がございましたら是非ご連絡下さい。