同じ月に社会保険被保険資格取得日と喪失日があることを、同月得喪といいます。資格取得日は入社日、喪失日は退職日の翌日です。社会保険料は日割ではなく月ごとの計算になります。同月得喪の場合、当該月の社会保険料については、厚生年金保険料と健康保険料それぞれの扱いが異なります。今回は、同月得喪が発生した場合の給与からの社会保険料控除についてお伝えします。
入社後間もなく退職し、同月内に新しい就職先で厚生年金保険に加入した場合もしくは国民年金保険に加入した場合は、後に加入した社会保険の保険料のみの納付が必要です。
例えば12月1日にA社に就職、12月20日に退職し、翌日21日にB社に就職し社会保険に加入した場合、A社における12月の厚生年金保険料の納付は不要となります。
この場合、年金事務所からA社宛てに、厚生年金保険料の還付についてのお知らせが届きます。厚生年金保険料が還付されたら、会社から被保険者負担分を元社員の方へ還付する必要があります。
健康保険料は厚生年金と取扱いが異なり、同月得喪の場合は、2つの会社の保険料が発生します。
厚生年金保険料と同様の例でいうと、12月1日にA社に就職、12月20日に退職し、翌日21日にB社に就職し社会保険に加入した場合、健康保険料については、A社でもB社でも保険料の納付が必要ということになります。
たとえ1日でも被保険者として在籍していれば、1カ月分の保険料が発生します。
入社後すぐの辞職は手続きを滞りなく正確に行うことも大切ですが、辞職する社員の方にしっかり理解していただき、トラブルにならないよう説明をすることが重要です。
また、就業日数が少ない場合、給与額が本人負担の社会保険料を下回ってしまい、給与額から社会保険料を全額控除できないケースも考えられます。その場合は、不足の本人負担分の徴収方法についても決めておく必要がありますのでご留意下さい。
ご不明点などある場合は、是非ご相談下さい。