毎年、原則として7月1日~7月10日までに算定基礎届を提出する必要があります。算定基礎届を提出することにより決定される標準報酬月額は、その年の9月~翌年の8月までの保険料や保険給付の額の基礎となります。
算定基礎届の対象とならない人として下記が定められています。
・6月1日以降に資格を取得した被保険者
・6月30日以前に退職した人(資格喪失日7月1日以前)
・7月、8月、9月に月額変更届・産前産後休業終了時変更届・育児休業等終了時変更届を提出する人または予定の人
月額変更(随時改定)については、届出が必要か否かもしくはいつを変更の起算月としたらよいのか判断に迷う場合があると思います。今回は、わかりにくいケースをご紹介しながら判断基準等をお伝えしていきます。
下記1~3の要件をすべて満たした場合、変更後の報酬が初めて支給された月から起算して、4カ月目の報酬月額より改定されます。
【ケース1】固定的賃金が上昇したが、非固定的賃金の残業代が減少したため、結果的に2等級以上報酬月額が下がった場合
月額変更(随時改定)の対象となりません。固定的賃金の増減と、実際の平均報酬月額の増減が一致しない場合は、月額変更(随時改定)の対象にはならないためです。
【ケース2】売上減少や経営難などにより従業員を一時的に休業させる(一時帰休)時に、1カ月のうち1日でも休業手当等の支払いがある場合
1カ月のうち、一時帰休に伴って固定的賃金が減額される日が1日でもあり、3カ月継続しており、2等級以上差が生じていれば対象となります。
ただ、4カ月目に一時帰休による休業手当等の支払いがなくなっている場合は対象外となるので注意が必要です。
【ケース3】制裁として基本給の減額があった場合、さらに減給制裁と同月に役職手当等の固定的賃金の増額がある場合
減給制裁は、懲戒による一時的なものであるため、固定的賃金の変動とはみなされません。
また、同月に固定的賃金の増額があった場合、変動した固定的賃金が支給された月を起算月として、減給制裁と増額された手当等を合わせた報酬全体が2等級以上の差があれば、随時改定を行うことになります。この場合、減給がなかったものとして、金額を算定することはできません。
【ケース4】給与計算期間の途中で昇給または降給した場合
昇給または降給が1カ月の給与分として支給された月を、固定的賃金変動が給与に反映された月として扱い、その月以後3カ月間に受けた給与を計算の基礎として随時改定を行います。
例えば、給与支払いが当月末締め、翌月20日払いの場合に、4月10日から給与額に変動があった場合、5月20日の支払い分では変更額1カ月分が確保できていないため、6月20日支給を3カ月の起算点として随時改定をするか否かの判断を行います。
【ケース5】非固定的賃金が創設された月に、当該創設された賃金の支給要件を満たさず支給されなかったが、次月以降に支払いが発生した場合
非固定的賃金が創設された月を起算月として、継続した3カ月のいずれかの月において当該非固定的賃金の支給実績が生じていれば随時改定の対象になります。
ただし、創設月以後3カ月間いずれの月においても当該非固定的賃金の支給実績が生じていなければ、たとえ創設後4カ月後に当該非固定的賃金の支給が発生していても起算月とはなりません。
働き方が一律ではなく選択肢が増えている中で、給与体系も様々で、変動が発生する機会も多いと思います。
適切に届出を行うためには、まず判断基準をよく理解することが大切です。
社会保険料に影響しますので、適切に処理を行うようご留意下さい。