日本に定住する外国人の国籍も豊富になり、様々な国の料理店が増えることにより、本場の味を再現できる外国人調理師の確保が重要な課題になっています。
外国人が外国料理の調理師として働くためには、「技能」という在留資格を取得することになります。
今回は、外国料理の調理師として在留資格「技能」を取得する時の要件や注意点などについてお伝えしていきます。
入管法別表第1の2「技能」において、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」と定義され、省令に下記9つの分野が記載されています。
【10年以上の実務経験があること】
職務経歴書等により実務経験を証明する必要があります。外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含むとされています。
※タイ人調理師については別途要件が設けられています。
【提供する料理が本場の外国料理であること】
日本風にアレンジされた料理ではなく、母国の伝統的なスタイルで調理していることが必要です。例えば、中華丼やエビマヨを提供しているいわゆる大衆食堂のような中華料理、オムライスやナポリタンを提供しているような洋食屋などでは、「技能」に該当する調理師には当てはまりません。
【日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であること】
契約内容に沿った報酬が支払われており、報酬額は、業界における相場、日本人の従業員がいる場合はその日本人と比較して、妥当な金額であることが求められます。
【勤務先に外国人調理師の技能を要する業務があること】
業務が存在することは当たり前のことなのですが、店舗の規模や設備、さらに他に採用している調理人がいればその人数などを総合考慮して、当該外国人調理師が安定して継続的に調理師として技能を十分に発揮して業務が行えるのか、本当に採用することが必要なのかといった点をみられることになります。
高級料理やコースメニューがある場合などは許可の可能性が上がりますが、たとえテイクアウトの店舗であっても、要件が揃えば許可の可能性はゼロではありません。
✔ 「技能」の在留資格を取得するには、実務経験が10年以上あることを証明することが非常に重要ですが、当該10年は、同様の料理の調理師としての経験が必要です。例えば、日本においてイタリア料理の調理師として働く予定である時、イタリア料理の調理師として10年の経験が必要であり、フランス料理4年、イタリア料理6年、合わせて10年という場合、要件は満たさないことになります。
✔ 職務経歴書を発行してもらおうとしても、働いていた飲食店が既に閉店しているということもあり得ます。その場合は、労働契約書や給与明細など併せて調理師として一定期間働いていたということを証明できる書類をできる限り集めて添付することが重要になります。
✔ 調理師以外のスタッフが確保できていない場合、調理以外の仕事もするのではないかと疑われる可能性が高いので、調理以外の人員が十分に確保できているか否かも重要なポイントになります。
経験年数を満たしているか否かを証明することは特に重要なため、資料の収集がポイントになります。ひとつの書面では証明が難しい場合は、いくつかの資料を組み合わせて提出する工夫も必要です。