2017年に公表された「働き方改革実行計画」において、「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業を普及促進する」との内容が含まれていたことにより、副業・兼業を認めているもしくは認める方向で検討中の事業所は年々増えています。
今回は、2箇所以上の事業場で働いた場合の社会保険加入に関してお伝えします。
現在の社会保険加入の要件は下記の通りで、要件を満たす事業場では加入が必要です。
〈社会保険の加入要件〉
✓ 週の所定労働時間が20時間以上
契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間等は含みません。
✓ 所定内賃金が月額8.8万円以上
1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金、最低賃金に算入しないことが定められた賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)は含まれません。
✓ 2カ月を超えて雇用される見込みがある
✓ 学生ではない
休学中、定時制、通信制の方は学生であっても加入対象となります。
※原則として、厚生年金保険の被保険者の総数が、12カ月のうち6カ月以上、101人以上となることが見込まれる場合を指します。法人の場合は、法人番号が同一の全事業所の従業員数を合計し、個人事業所は個々の事業所ごとにカウントします。
〈働き方の例〉
✓ A社及びB社の法人代表者
✓ A社の法人代表者で、B社で正社員として勤務する者
✓ A社及びB社で正社員として勤務する者
✓ A社及びB社で短時間労働者として勤務する者
同時に2以上の事業所で社会保険の入加入要件を満たした場合、「健康保険 厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を事実発生から10日以内に日本年金機構へ提出する必要があります。
届け出を行う時に、それぞれの事業所が加入している制度によって、健康保険組合や全国健康保険協会(以下、「保険者」という。)などを選択するか管轄の年金事務所もしくは事業所を選択することになります。
ケースによって、以下の選択に分かれます。
2つ以上健康保険者証を同時に保持することはできないため、選択した事業所の健康保険証が発行されます。
既に健康保険証を所持している協会けんぽを選択した場合でも、被保険者番号が変更され新しい保険証が発行されるので、保険証の返却が必要になります。
同時に2以上の事業所で社会保険の入加入要件を満たした場合、保険料については次のような流れで決定します。
それぞれの事業所に納付すべき保険料の通知が届くので、被保険者の負担分と事業所の負担分をまとめて事業所が納付する必要があります。
ご不明な点がございましたら是非ご相談下さい。