退職後、どの健康保険制度へ加入した方がよいのか、迷う方は多くいらっしゃると思います。
選ぶ制度によって、手続き方法や本人負担の保険料はそれぞれ異なってきます。
今回は、選択肢とそれぞれの内容をお伝えしていきます。
退職後の健康保険の選択肢として、「任意継続」、「国民健康保険」、「家族の被扶養者」の3つがあります。いずれかに加入した後に、次の勤め先が決まり、社会保険の被保険者要件に合致した場合は、次の勤め先で健康保険への加入手続きが行われ、選択していた3つのいずれかの健康保険は喪失の手続きが必要になります。
退職後も引き続き、在職中に加入していた健康保険制度に加入しておくことができる制度です。
協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入されていた方について、下記の通りご説明いたします。健康保険組合へ加入されていた方については、各健康保険組合の任意継続制度をご確認下さい。
【要件】
【加入できる期間及び資格喪失事由】
加入できる期間は2年間のみです。2年間経過するまでに下記の事由が発生した場合についても資格喪失となります。
・保険料が納付期限内に納付されなかった時は、納付期限の翌日が喪失日となります。
・次の職場で被保険者となった時は、被保険者となった日が喪失日となります。
「資格喪失申出書」の提出が必要です。
・後期高齢者医療制度の被保険者となった時は、被保険者となった日が喪失日となります。
「資格喪失申出書」の提出が必要です。
・死亡した時は、死亡日の翌日が喪失日となります。
「埋葬料(費)支給申請書」の提出が必要です。
【保険料】
・在職中は、事業主と被保険者が折半していますが、任意継続の場合は全額被保険者が負担することになります。
・保険料は、退職時の標準報酬月額によって決定されます。被扶養者がいても保険料は変わりません。
・標準報酬月額は上限32万円が設定されています。(令和7年度)
【保険給付】
原則、在職中と同様の保険給付が受けられます。
ただし、傷病手当金もしくは出産手当金については、退職日まで継続して1年以上被保険者期間があり、退職日において受給されている、もしくは受給できる条件を満たしている場合を除き、受けることはできません。
【手続き】
退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村で加入の手続きが必要です。
【加入できる期間】
就職先で被保険者になった場合、75歳になり後期高齢者医療制度の被保険者なった場合、家族の被扶養者となった場合、死亡した場合に資格を喪失することになります。
【保険料】
・保険料は、お住まいの市区町村によって異なります。
・世帯の国民健康保険の被保険者ごとに計算したものを世帯単位で合算し、世帯主が納めることになります。
・前年の所得、固定資産税額、世帯の加入者数などによって保険料が算出されます。世帯単位の賦課限度額が設定されています。
世帯人数が多い場合や、退職時の所得が高かった方は保険料が高くなる可能性があります。
・解雇や雇止めなど非自発的な理由で離職した場合に保険料が軽減される措置や災害で被害を受けた場合に保険料が減免される措置などがありますので、該当する可能性がある場合は、お住まいの市区町村でご確認下さい。
【保険給付】
原則、傷病手当金と出産手当金の給付は行われていません。
勤めている被保険者の勤務先に、被扶養者についてお知らせを行うことで、勤務先にて手続きが行われます。扶養者が協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入されている場合について、下記の通りご説明いたします。
【要件】
収入の要件
・原則、今後見込まれる年間収入が、130万円未満かつ、
同居の場合、扶養者の収入の半分未満であること、
別居の場合、被扶養者からの仕送り額未満であることが必要になります。
・被扶養者の年齢が60歳以上または障がい者の場合は、見込み年間収入は180万円未満である必要があります。
・被扶養者の収入は、失業の保険給付、公的年金、傷病手当金、出産手当金を含んで算出されます。同一世帯の要件
同一世帯の要件
・被保険者と同居が不要な者:配偶者、子、孫、兄弟姉妹
・被保険者と同居が必要な者:上記以外の3親等内の親族、内縁関係の配偶者の父母及び子
【加入できる期間】
上記の要件に該当しなくなった場合、就職先で被保険者になった場合、75歳になり後期高齢者医療制度の被保険者なった場合、日本国内に住所を有しなくなり海外特例要件にも該当しない場合、死亡した場合には資格を喪失することになります。
【保険料】
被扶養者の負担分はありません。被扶養者数が増えても、保険料率や扶養者の給与額が変わらない限り、扶養者の保険料額は変わりません。
【保険給付】
傷病手当金と出産手当金の給付は行われていません。
いずれを選択するかは、退職時の収入額、被扶養者の有無、同世帯の者が加入している健康保険制度や人数などを考慮し考える必要があります。
国民健康保険の保険料については、多くの市区町村が、計算ツールや概算早見表を公開していますので、それらを参考にすることもおすすめです。